Last Updated: 2009.03.05

「美」と「苦」

仏教の教えの基本は、我々が為した行為のなかで、殆どのものが煩悩によって支配されて為した行為であるが故に、その結果として我々が味わうものが「苦しみ」であるという考えである。

いかなる生命体であっても、その行為が破滅的な傾向にあるということでもあり、無常/苦/無我/不浄といったものが、この我々が視ている世界を絶対的に評価しているものである。そしてこれは叙情的ではなく、現実的であり、詩的ではない。

それでは美しいものとは、何であろうか。我々の心の琴線を振るわす美しいものとは、仏教的にいえばどのようなものなのであろうか。

実はこの問いかけは非常に答えを見いだすのが困難な問いである。