今回もダライ・ラマ法王の側との対話がもの別れに終わってしまった。
それは何故だろうか?それは「対話」と呼べるようなものではないからである。
ダライ・ラマ法王の側と中国政府側との溝は深いものがある。それは様々な問題が絡み合っているが、チベット問題はこの溝を埋めない限り解決しないし、このままいくとまた何年か後に世界はチベットの人々が殺されるのを見たり聞いたりせざるを得ないのである。
我々が署名サイト「チベットの危機に関する声」で日本政府にもとめているのは、チベット問題に関してこの問題を解決するための国際的な枠組が必要であるということである。これができないのならば、この問題はいつまで立っても解決しないだろう。そしてそれを構築しようとしない我々の政府は結局は何もしていないのと同じだということである。
話を簡単にしておくのならば、喧嘩している双方には仲裁者が必要だという話である。たとえば男女の仲でも同じことである。一度いがみあってしまった当事者がいくらお互いの要求をしあっても話し合いが進む訳がない。だからこそ民事裁判というものがあるのであり、弁護士を通じた和解というものをするのが通例なのである。
チベット問題の解決には、かならず国際的な第三者をまじえた対話の場が必要である。そしてアジアにおける平和貢献国家を目指そうとする日本はそれをすべきではないだろうか。もちろんいま国会はねじれ国会になって大変な時であろう。世界恐慌も大変なできごとである。しかし、いま目の前で死んでいる人たちを助けることができなくて、どうやって世界のなかでリーダーシップを発揮する国家を形成しようというのだろうか。
チベット問題を闇に葬るべきではない。
オリンピックも終わったいまこそ直接対話の場をつくるべきではないだろうか。
ダライ側との対話、物別れ 中国、「独立」放棄要求
【北京6日共同】中国共産党は6日までに終了したチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の特使との対話で、現行のチベット自治区の統治制度は断固変えないと表明、変更を求めるダライ・ラマ側の要求を拒絶した。国営通信、新華社が同日、伝えた。
チベット自治の在り方をめぐる双方の対立の溝は埋まらず、対話は完全に物別れに終わった。
チベット問題は北京五輪を前にした3月のラサ暴動で国際的な関心が高まったが、進展が得られなかったことで、亡命チベット人社会ではダライ・ラマの対話路線に批判が強まる可能性がある。
対話継続の是非などについて亡命チベット人の代表らで協議する緊急会議が17日から、亡命政府があるインド北部ダラムサラで開かれる予定。
新華社によると、対話にはチベット問題を主管する統一戦線工作部の杜青林部長が出席。杜部長は「中国は(少数)民族による地域自治制度を堅持する」と強調し「いかなる状況でもチベットの独立や半独立、形を変えた独立は認められない」と断言。ダライ・ラマに対し、政治要求を根本的に改め、暴力活動の扇動やチベット独立画策の動きを支持しないよう警告した。